コロナ禍の自粛生活中、ネットで買い物をする人も多いだろう。そんな時、一見どこにでもありそうな通販サイトでお目当ての商品が大幅値引きされていたら、手を止めて見てみようという気持ちになるのでは? しかし、それこそがネット通販詐欺のワナ。「自分だけは引っかからない」と思っていても、手口は日々巧妙化しており、気付いたときには後の祭りだ。実際に消費生活センターに寄せられた事例を見てみよう。
埼玉県に住む大学生のA子さん(21才)は、巣ごもり時のネットサーフィンの際、好きな高級ブランドバッグを格安で売るサイトを偶然見つけ、飛びつくように注文した。
だが、届いた品物は劣悪な偽ブランド品だった。A子さんは日本の直売店に連絡したが、「当社が関知しない偽もの」と取り合ってもらえない。国民生活センター相談情報部の森澤槙子さんが語る。
「ネット通販業者によっては返品受付を電話やLINEに限定し、連絡してもつながらず、返品できない事例もあるようです」
また、同じ国民生活センター内にある越境消費者センター(CCJ)によれば、同所には年間約6000件程度の相談が寄せられており、その中には日本人の消費者が海外ECサイトと気づかずに偽ブランド品を購入し、トラブルや被害に遭ったという相談もあるという。
「日本語でブランド品を販売しているECサイトでも、よく見るとおかしな日本語が散見される場合は、海外ECサイトの可能性があります。また、高級ブランドの模倣品を海外の業者に返品しようと思っても、禁制品の輸出行為にあたり、違法となるため注意が必要です」(CCJ担当者)
このように、ネット通販では返品ができるとは限らない。ネットトラブルに強いグラディアトル法律事務所の弁護士・清水祐太郎さんが説明する。
「訪問販売と違い、通信販売はクーリングオフの対象外です。しかし、特定商取引法では、原則として、ネット通販も商品到着後8日以内なら送料などを自己負担することで返品が認められています」