お笑いコンビ・ザブングルが3月末に「コンビ解散」というニュースは、芸人界に大きな衝撃をもたらした。世間では、一芸人の解散というイメージかもしれないが、「カッチカチやぞ!」「悔しいです!」などのギャグでブレイクし、芸歴も20年以上と長いコンビだっただけに、複雑な思いを抱える芸人は少なくない。ザブングルと同世代で、芸歴20年超えの芸人・Aさん(40代男性)が話す。
「コロナの影響がついにここまできたか……という印象です。ザブングルは、若手の頃よくライブで一緒でしたし、2007年の『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)決勝進出を機に売れていく姿を目の当たりにしていましたから、個人的に特に思い入れの強いコンビでした。闇営業問題でザブングルが謹慎処分を受けた後、ほとぼりが冷めたかなという頃にコロナで状況が一変して、『もしかしたら……』という感じはありましたが、あれだけ売れていたコンビが実際に解散すると聞いた時は、かなりショックでした」
新型コロナウイルス感染拡大の収束が見えず、テレビの制作現場は今も苦境に立たされている。以前からただでさえ制作費が少なくなっていたところに、コロナの影響で企業が次々とスポンサーを降りてしまい、制作費がさらにカットされる厳しい状況だ。現場は密を避けながら予算内で番組を作る必要があるため、出演者数を大幅に減らしている。
その影響をもろに受けているのが芸人だ。これまでは、バラエティ番組のひな壇に大勢の芸人が座っている形式の番組が多かったが、今はそうした番組は減りつつある。ひな壇があったとしても、かなり厳選された芸人しか座らせてもらえなくなっているのだ。人気コンビのザブングルといえども例外ではなく、解散の理由についてインタビューで、「闇営業問題で謹慎中に収入が半分になり、コロナの影響でその後さらに収入が半減した」と語っている。
ザブングルが解散を発表する前から、実は既に芸人の間ではコンビの解散が相次いでいる。ライブや営業など、メインとなる活動を制限される状況が続いたことで、20~30代の若手やテレビ出演がほとんどないライブ活動中心の40代芸人が見切りを付け、続々と辞めているのだ。悩んだ結果、苦渋の決断をした元芸人のBさん(40代男性)が話す。