長く生きるほど、積み重ねてきたもの、抱え込むものは増えていく。「いつかやらなくては」と考えながらも、先送りにしがちな身辺整理は、早いうちから計画的に進めることが何より肝要だ。人生の後半で要らなくなるもの、持ち続けるべきものとは何か。どう見極めて、どのタイミングで手放すべきか。
50代半ばは、子供が独立していく一方、老親の介護が現実味を帯びてくる世代だ。まだ体力があるうちに、片付けておきたい事柄は多い。総合保険代理店R&Cの金山亮佑氏が言う。
「50代は役職定年で給料が減り始める時期。それまで入っていた生命保険を見直しましょう」
金山氏が見直しを推奨するのは「子供が独立するまで」のつもりで組んだ生命保険プランだ。
「子供が大学を卒業すれば、大きな保障は必要なくなります。掛け捨ての死亡定期保険にプラスして収入保障保険や就業不能保険に入っている場合、子供の成長とともに保障額が減っていく収入保障保険はカットして良いでしょう。毎月4000~5000円の保険料が節約できます。また、60歳まで保障の死亡定期保険なら、55歳で解約するのもひとつの手です。月2000~3000円の出費が抑えられます」(同前)
一生涯保障の終身保険を複数契約している場合、1つを「払い済み保険」とすることで、以後の保険料を支払わずに済ませられる。
「終身保険は保障内容が手厚い分、保険料も月1万円程と相場が割高になります。これを1つ払い済みにするなど、見直しを組み合わせていけば月に2万円弱の節約になる家庭もあるでしょう」(金山氏)
50代以降は老親の介護にも時間や費用を取られがちになる。親の介護のために子が仕事を辞める「介護離職」も社会問題化している。介護評論家の高室成幸氏はこう喝破する。
「介護離職は百害あって一理なしで、『プロに任せる』ことが重要。介護の各段階でデイサービス、デイケア、訪問介護、ショートステイ、施設入所とさまざまなサービスがある。プロに任せることは『親の介護を手放す』のであって『親を手放す』のではありません」