技術革新によって、様々な分野での“時短”が実現している。さらに、リモートワークの普及により、人の移動時間もカットされる時代に突入した。それらの“時短”によって、効率的な仕事が進められるようになっているが、“一流”と呼ばれる人々は、日常生活のなかで、さらに個性的な“時短”を実践するケースも多いという。
たとえば、毎日の食事。一流の人たちの食事と聞くと、高級レストランでフルコースを味わっているようなイメージがあるが、そんなことはない。
多くの一流人たちは、まったくといっていいほど食事に時間をかけない。「経営の父」と呼ばれる京セラ名誉会長で、2兆円超の負債を抱えるJALを再建させた稲盛和夫さん(89才)の大好物が、チェーン店の牛丼だというのは有名な話だ。また、『ドラえもん』を生み出した漫画家、藤子・F・不二雄さん(享年62、1996年逝去)の行きつけは立ち食いそば店だった。
映画監督の宮崎駿さん(80才)は、毎日、アルミの弁当箱を職場へ持参しているという。妻が作れないときは自分で詰め、その弁当を昼に半分食べ、夜に残りの半分を食べる。1回の食事は5分もかからないといわれる。
世界トップの富豪であるマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ(65才)は、マクドナルドのチーズバーガーかビッグマックが昼食の定番で、質素な時短ランチを済ませたら、読書や仕事に打ち込むことが若い頃からの習慣だ。
高校を中退して渡米し、猛勉強を重ねてカリフォルニア大学バークレー校を卒業したソフトバンクグループ会長の孫正義さん(63才)は、当時の食生活について、講演会でこんなことを語っている。
「食事をするときも手から教科書を離さなかった。左手に持った教科書をにらみながら、視野のはしっこにボーッと見える皿に右手でフォークを突き刺して、とりあえず刺さったものを食べる。両手にフォークとナイフを持って、料理を見ながら食事をするなどという贅沢なことは考えられなかった」
食事は単なる栄養補給と割り切って、すべての時間を勉強に費やした経験が、孫さんを一流へと導いた側面もあるのだろう。
※女性セブン2021年4月15日号