家電のAI機能の進化によって、家事は劇的にラクになっている。家電を活用した家事の時短や自動化がますます進むことも予想されるが、同時に都市部を中心に利用者が増えているのが家事代行サービスだ。家事シェア研究家でNPO法人tadaima!代表の三木智有さんがいう。
「月に1~2度でも家を掃除してもらうことで、日々の掃除のプレッシャーから解放され精神的にラクになるという人が多い。なかでも、1時間1500円から依頼できる『タスカジ』が特に人気です」
家事代行を利用する際は、ソニーのスマートホームサービス「MANOMA」が役に立つ。知的家事プロデューサーの本間朝子さんがいう。
「あらかじめ利用日時を登録しておくと、家事代行の事業者をアプリで照合して玄関の鍵を開けることができます。室内にはカメラが設置されていて、留守中の様子をスマホでチェックできます。家の外からスマホで家電を操作することもできます」
会社にいながら、留守番中の子供の様子をスマホで確認でき、育児の負担軽減にも役立つサービスだといえる。
“家事ができる人はすごい”という価値観
本間さんは「すでに、いまの最新のサービスや家電をフル活用したら、家事はゼロにできる」と話す。問題は、費用と意識だけということだ。
「この問題が解決されれば、家事は今後、最新の家電やサービスを使って徹底的な効率化・時短にこだわる人と、これまでのように人の手で丁寧に行うのを“趣味”として楽しむ人に分かれるでしょう。やりたいことはやって、やりたくないことは人や家電に頼るようになるはずです」(本間さん・以下同)
19年間の専業主婦経験を持つ前野さんは、家事をなくす第一歩として、世の主婦たちの意識改革を促す。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科附属SDM研究所の研究員である前野マドカさんは、こう話す。
「“専業主婦は社会に貢献していない”と負い目を感じる人が多い。しかし、社会に出てバリバリ働いているキャリアウーマンは、実際は“専業主婦は毎日の家事をこなしていて立派よね”と口々に言います。
そもそも、家事は本来“主婦だけの仕事”ではない。家電やサービスは需要が増えればさらに普及するでしょうから、いつでも自分がラクできる方法を堂々と選べばいいのです」