高齢化が進む現在の日本社会。50代などまだまだ“若手”であり、その年齢になってから学ぶこともたくさんある。子育てもひと段落して50代、60代から難関試験にチャレンジをする人も増えているという。実際に、50才を超えて東大入試に合格した女性は、どんな勉強法を実践していたのだろうか──。
19才と20才のとき、東京大学を受験するも、いずれも不合格。その30年後の50才で、「東大合格!」という目標を叶えたのが安政真弓さん(59才)だ。
「過去2回の受験は、模試では合格間違いなしだったのに、本番になると、『本当に大丈夫だろうか?』と心配性の性格が出てしまい、力を発揮できずに失敗。『永遠に大学生にはなれないのかも』と、先が見えない不安に押しつぶされそうでした」(安政さん・以下同)
2度目の受験後は、早稲田大学に入学。フランス文学を専攻し、卒業後は学習塾勤務を経て、設計士である5才年上の夫と見合い結婚をした。
「専業主婦となり、2人の男児を出産。子育てがひと段落してから、43才のときに中学生を対象にした学習塾を自宅で開き、勉強を教えていました。その後、2011年3月に次男が東大受験に失敗したのを機に“私も東大を受験したい!”という思いが再び沸々と湧き上がってきたんです。東大の過去問を見てみると、私が受験していた頃と傾向がほぼ同じでした。『これならもう一度、チャレンジできる!』と思い、独学で東大受験することを決めました」
安政さんの勉強法は、いたってシンプルだ。
「毎日、“過去問”を徹底的に解きました。そして、模試を受けたらその日のうちに復習する。あらゆる試験で言えることだと思うのですが、過去問と模試は最高の参考書。模試は、たとえ合格判定に届かなくてもがっかりしないで、自分の答案を見て、どこがダメだったのかを確認。模範解答を書き写して、丸暗記していました」
10代、20代の頃と50代での受験が大きく違ったのは、人生経験の豊かさによる。
「私はプレッシャーに弱いタイプでした。なので、受験することを家族や仲のいい数人にしか言わず、“不言実行”でいきました。プレッシャーに負けないために、さまざまな成功者の経験談や勉強本を読み、真似できそうなところを取り入れたのです。東大出身の精神科医・和田秀樹さんの著書は、どれも大いに役立ちました」