9月17日告示、29日投開票の自民党総裁選への、市場関係者たちの注目度は高い。8月下旬に2万8000円を割り込んでいた日経平均株価は、9月3日の菅義偉首相の退任表明に伴って大きく上昇。チャートを見ると、8月31日から9月14日まで11日連続で「陽線」を記録しており、これは1999年8月9~23日以来の22年ぶりのことである。
自民党総裁選に続いて衆院選も予定されており、相場全体が盛り上がりを見せるなか、すでに“次期首相”の政策に関連する個別銘柄の物色も始まっている。カブ知恵代表の藤井英敏氏が語る。
「岸田文雄・前政調会長、高市早苗・前総務相に続き、河野太郎・行政改革相が出馬を表明して、事実上の三つ巴の争いとなっています。国民的人気の高さから河野氏優勢との見方も広まっていますが、高市氏陣営が14日に選挙対策本部を立ち上げて開いた発足式には秘書の代理出席を合わせると71人が出席。事前予想より大きく膨れたことから、情勢はわからなくなっています。そのため、株式市場では誰が新総裁になっても対応できるように幅広い銘柄が物色されています」(藤井氏、以下同)
まず、「河野氏関連銘柄」として浮上したのが「電力株」だ。
「反原発を公言していた河野氏が、総裁選出馬表明後に原発再稼働を当面容認する姿勢を示し、これまでの軌道を修正する発言をしたことを受け、9月9日には東京電力ホールディングス株が32円高と10%の上昇を見せるなど、一気に賑わいました」
加えて、河野氏は「脱炭素社会に向けてカーボンニュートラルを目指す」姿勢を続けているため、「再生可能エネルギー・電力自由化」関連も物色されそうだ。
「太陽光からバイオマス、風力まで手がけるレノバ(9519)、太陽光発電のウエストホールディングス(1407)をはじめ、アストマックス(7162)、ENECHANGE(4169)といった銘柄が動意づいています。また河野氏といえば『脱ハンコ』関連も注目され、GMOグローバルサイン・ホールディングス(3788)、弁護士ドットコム(6027)などが賑わいを見せています」