投資情報会社・フィスコが9月20日~9月24日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は底堅い値動きか。9月21-22日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、金融政策の現状維持が決定される見通し。FOMC声明で資産買入れの段階的縮小(テーパリング)の重要性が指摘されるとみられているが、足元で発表された米国の経済指標は強弱まちまち。8月小売売上高は予想に反して増加したが、8月の非農業部門雇用者数や8月消費者物価指数などは市場予想を下回り、米国経済は減速しつつある。インフレ加速の思惑も後退しており、今回のFOMC会合で緩和策縮小の開始時期が公表される可能性は低いとみられる。
ただし、量的緩和策の年内縮小への期待感は根強く、リスク回避的なドル売り・円買いが大きく広がることはなさそうだ。今後発表される個人消費、雇用、インフレ関連の経済指標が持ち直せば、量的緩和策の段階的な縮小への思惑が強まり、ドルをサポートしそうだ。
【FOMC】(21-22日開催予定)
FRBは9月21-22日開催のFOMCで、現行の金融政策を維持する公算。量的緩和策の縮小についての方針が提示される可能性は残されているが、政策金利見通しについては従来通りと予想される。
【米・9月IHSマークイット製造業/サービス業PMI】(23日発表予定)
23日発表の9月IHSマークイット製造業/サービス業PMIは、製造業PMIが61.0、サービス業PMIは55.0と、8月実績と差のない数字になると予想されている。製造業は60超の高水準だが、市場予想を下回ると景気減速が警戒されやすい。
・9月20日-24日週に発表される主要経済指標の見通しについては以下の通り。
○(日)日本銀行金融政策決定会合 22日(水)決定会合の終了予定時刻は未定
・予想は、金融政策の現状維持
日本銀行の黒田総裁は9月15日に行われたオンラインのセミナーで「新型コロナウイルスの感染拡大による供給網の寸断や工場の操業停止による生産への影響が懸念されるものの、堅調な企業業績が設備投資を後押しする」との見解を示した。ただし、2%の物価目標については2023年末までの達成は厳しい状況であり、今回の金融政策決定会合でも現行の金融緩和策を長期間維持することが改めて確認される見込み。
○(米)FOMC会合 22日(水)日本時間23日午前3時結果判明
・予想は、金融政策の現状維持
米国のインフレが加速する可能性は、ほぼなくなったとの見方が広がっているが、2%超のインフレ率はしばらく続くと予想されており、今回の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で量的緩和策縮小に関する具体的なプランが提示される可能性がある。
○(欧)9月ユーロ圏IHSマークイット製造業PMI 23日(木)午後5時発表予定
・予想は、60.3
参考となる8月実績は、61.4。ユーロ圏における新型コロナウイルスの感染流行は終息していないものの、多くの企業は一定水準の活動を維持している。雇用情勢の改善が期待されていることから、9月は8月実績に近い水準となる可能性がある。
○(米)9月IHSマークイットサービス業PMI 23日(木)午後10時45分発表予定
・予想は、55.0
参考となる8月実績は55.1。各地区連銀の景気指数はまちまち。新型コロナウイルスの感染流行は続いており、雇用や個人消費をやや圧迫していることから、9月は8月実績をやや下回る可能性がある。
○その他の主な経済指標の発表予定
・21日(火):(米)8月住宅着工件数
・22日(水):(米)8月中古住宅販売件数
・23日(木):(欧)9月ユーロ圏IHSマークイット総合PMI、(英)英中央銀行MPC政策金利発表、(米)9月IHSマークイットサービス業PMI
・24日(金):(独)9月IFO企業景況感指数、(米)8月新築住宅販売件数
【予想レンジ】
・108円50銭-111円50銭