ノスタルジックな花模様のコップやボンボン(一口サイズのチョコレートやキャンディ)入れ。昭和の家庭を彩った食器「アデリアグラス」(当時)が、令和のいま再びブレーク中だ。
「きっかけはSNSです。新製品の構想を探していた社内の若いデザイナーが、インスタグラムで、『アデリアグラス』愛用者の投稿を見つけたんです」(昭和に流行したガラス食器の復刻版「アデリアレトロ」を製造する、石塚硝子の広報・川島健太郎氏。以下同)
テスト的に2018年に復刻モデルを発表したところ大きな反響があり、ブランド名を『アデリアレトロ』とし、復活。いままでに36あるシリーズ全体で、約52万個を売り上げた。
「利用者の9割近くは20~40代の女性です。ガラス食器業界では、年間数万個売れればヒットといわれていますので、本当にすごい状況だと思います。
ここまでブレークしたのはSNSのお陰です。情報が拡散される速さ・量がとにかく違います。『アデリアレトロ』の公式インスタグラムには約3万4000人のフォロワーがいますが、そこで限定商品を発表すると、あっという間に完売してしまうんです」
また、純喫茶ブームにより、アデリアレトロのグラスがさまざまな店舗で使われたことも追い風となった。
「先に、若い世代はレトロなモノに新鮮さを感じるとお話ししましたが、インスタ映えするデザインに魅力を感じてくださったことに加え、700~2000円という手頃な価格設定も大きいですね。モチーフはすべて当時のもの。何かのマネではなく、“オリジナルのレトロ”という点も強みだと思います」
頻繁に使ってもらうため、口部に欠けにくい加工を施し、サイズも昭和よりやや大きめだ。大人には「幸せな子供時代」の象徴でもある懐かしいグラス、再び手に取ってみたくなる。
取材・文/佐藤有栄
※女性セブン2021年9月30日・10月7日号