ふと気づくと、世の中には何かと「無料」をうたうサービスがあふれかえっている。代表的なのは、動画や音楽のサブスクリプション(サブスク、定額制サービス)。「Amazonプライム・ビデオ」「Netflix」「U-NEXT」など、毎月500円から2189円まで、一定額の会費を払えば映画やドラマが見放題になるサブスクは、コロナ禍のステイホームで利用者を爆発的に増やした。
この手のサービスはどれも月額制だが、多くが「初月無料」または「最新話無料」で、それこそが落とし穴。一見おトクで良心的に思えるが、これは「フリーミアム」といった、れっきとしたビジネスだ。
アカウントを3つ持っていて会費が3倍に
フリーミアムとは、「フリー(無料)」と「プレミアム(割増料金)」を組み合わせた言葉。つまり、ごく一部は無料だが、「もっと利用したい」と思ったら料金を払わなければならない、課金前提のサービスだ。ファイナンシャルプランナーで家計の見直し相談センター代表の藤川太さんが言う。
「レンタルDVDは新作の方が高いのに、サブスクではドラマの最新話が無料。これは、話題性で引きつけて、間口を広げているのです。サブスクのフリーミアムは、“とりあえず登録して、無料の間にやめればいい”と思わせて、人を集めます。
でも、無料期間を1日でも過ぎればお金がかかる。最初こそよく見ていても、熱が冷めれば次第に見なくなる。結局、何か月もムダに会費を払っている人は少なくない」
ファイナンシャルプランナーの飯村久美さんも、解約するつもりで忘れている人が多いと話す。
「特に、スマホやパソコンで契約が完結するタイプのものは、初回に登録したクレジットカードから自動的に引き落とされる仕組みがほとんど。あまり興味がないものや、利用していない期間が長いものほど、無料期間が過ぎても忘れたままズルズルと継続しがち。月2000円なら年間2万4000円もの損です」