日本銀行が9月に公表した「資金循環統計」というレポートに、気になるデータが載っていました。なんと、家計の金融資産が増加しており、過去最高にのぼっているとのこと。その額、およそ1992兆円(2021年第2四半期)。内訳をみると、現金・預金が約半分を占め、1072兆円。こちらも過去最高の金額に達しているそうです。平たく言うと今、日本の家計には最も多くのお金が蓄積されている、ということになります。
コロナ禍の影響で、昨年から今年にかけて、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出されていた期間は相当なものになりました。その間、外食やレジャーをはじめとする消費は落ち込んでおり、過去最高額の家計金融資産はまさに「コロナ禍でお金を使いたくても使い途がない……」という、消費意欲にフタをされた状況の現れとも言えそうです。
一方で、コロナ禍以前から、低価格で手軽なファストファッションは好調。100円均一の割安な商品もよく売れています。他にも、買い物等で得られるポイントを効率的に貯める・使う「ポイ活」の盛り上がりなどを考えると、そもそも意識としては「あまりお金を使いたくない」気持ちが根強くあって、それが家計金融資産の着実な増加を後押ししているようにも思えてきます。
10月に入り、緊急事態宣言は全面解除となりました。これで抑制されていた旺盛な消費意欲にエンジンがかかるのか、はたまた節約意識が根強く残っていくのか。今後の家計と消費を考える材料のひとつとすべく、生活者の「贅沢」と「節約」に関する意識調査を行いました(※調査概要は文末に記載)。
コロナ禍は節約ができて好都合?根強い節約マインド
まず自分の消費スタンスについてザックリと、贅沢したいほうか、節約したいほうか、どちらに近いかを聞いたところ、以下の結果になりました。
贅沢をしたいほうだ:51.1%
節約をしたいほうだ:48.9%
結果は見事に拮抗。びっくりするほど僅差です。なお男女別でもその傾向は同様です。
男性:贅沢49.5%、節約50.5%
女性:贅沢52.6%、節約47.4%