投資情報会社・フィスコが10月25日~10月29日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は上昇一服か。今週発表の7-9月期国内総生産(GDP)速報値や9月PCEコア価格指数などの経済指標が予想を上回った場合、米連邦準備制度理事会(FRB)が年末までに債券購入の段階的縮小(テーパリング)に着手する可能性はさらに高まりそうだ。ウォラーFRB理事は10月19日の講演で、インフレ高進が続くなら早期利上げを支持するとの考えを示し、2022年中の利上げ開始の思惑も広がっている。
原油高や米長期金利の上昇などを背景にドル・円は114円70銭まで買われており、2017年11月以来の高値圏まで浮上した。ただ、ドル高・円安の急速な進行については、一部で投機的な円売りが増えているとの見方や、秩序だった動きではないとの声が聞かれている。また、1ドル=114円台後半から115円付近では顧客筋などのドル売り・円買いが増える可能性があるとみられており、原油価格の反落や中国恒大集団の債務問題など、新たなドル売り材料が提供された場合、ドルが急反落する可能性は残されている。
【米・7-9月期GDP速報値】(28日発表予定)
28日発表の米7-9月期GDP速報値は、前期比年率+3.0%と、4-6月期の6%台の高水準から伸び率は大幅に鈍化する見通し。ただ、市場予想を上回った場合、景気減速懸念は弱まり、ドル買い材料になりそうだ。
【米・9月PCEコア価格指数】(29日発表予定)
29日発表の米9月PCEコア価格指数は、8月実績の前年比+3.6%並みの高水準を維持すれば、FRBによる年内の資産買入れのテーパリング開始を後押ししよう。
・10月25日-29日週に発表される主要経済指標の見通しについては以下の通り。
○(日)日本銀行金融政策決定会合 28日(木)決定会合の終了予定時刻は未定
・予想は、金融政策の現状維持
エネルギー価格や原材料価格の上昇に伴う食料工業品の値上げなどによる価格上昇が、家計の消費行動に与える影響を注視していく必要はあるが、緩和的な金融環境が企業等の経済活動を下支えしている状況は大きく変化していない。「特別プログラム」を含む現行の政策を継続していくことが妥当とみられる。