コロナ禍の逆風に晒されながらも、動画配信やオンラインコンサートなど、デジタルを活用し新たな需要を生み出してきたエンタメ業界。来たる2022年はどんなコンテンツが注目を集めるのだろうか。約2年間、人々ががまんにがまんを重ねてきたからこそ流行が期待される注目のエンタメについて、専門家に聞いた。
2021年は東京パラリンピックの開催により、「障がいは個性」という、決してきれいごとではない事実を、世界中の人が目の当たりにした。メディア文化評論家の碓井広義さんは、2022年は、障がいを抱える人やLGBTQなど、あらゆるマイノリティーの人々が、さまざまなメディアでもっと当たり前に登場するようになると話す。
「『きのう何食べた?』(テレビ東京系)や『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』(日本テレビ系)の功績が大きい。同性愛者や身体障がい者が主人公ですが、設定ではなく、誰でも共感できる物語そのものが支持を集め、色眼鏡のない、マイノリティーの当たり前の生き方を伝えてくれた。
一方で、『俺の家の話』(TBS系)は、介護×能楽師という異色の組み合わせと、やはり『家庭』という小さな規模での日常がウケた。2022年はスケールの大きなジェットコースタードラマよりも、さまざまな環境での日常と“小さな人間関係”を描くものが増えるでしょう」
2022年のエンタメは“密”な心模様に共感できるものが流行りそうだ。共感重視の傾向はアイドル界にも現れると、消費者経済総研チーフ・コンサルタントの松田優幸さんは言う。
「現在世界中で大人気を博しているBTSですが、あまりにもスター性がありすぎて親近感が持てないという人がいるのも事実。そうした人たちがどハマりしているのが、アーティストのSKY-HIが自腹で1億円以上を投じて行ったボーイズグループオーディションから生まれた『BE:FIRST』。最初から完ぺきなアイドルではなく、未完成で粗削りなメンバーの成長を応援できるところが魅力で、2022年はBE:FIRSTのブームがますます大きくなるでしょう」