自宅で過ごす時間が増え、使っていない家具や着ない服など生活に不要なものが目につきやすくなった。いい機会だからとコロナ禍に片づけを始めるのはいいことだが、捨てすぎは、ものをため込む以上にマイナスとなる可能性がある。
子育て世代の「暮らしのくふう」を届けるwebメディア「kufura」が、20~50代の女性を対象に行った「捨てたけど買い直したもの」に関する調査では、「服」が首位になっている。片づけの専門家たちの間でも、「勢いで服を捨てると失敗しやすい」という声が上がる。
元介護福祉士で整理収納アドバイザーの中里愛子さんが言う。
「私が過去に捨てて失敗したと思ったのはコートです。気に入っていたのですが、何年も着ていたからくたびれてしまい、買い替えようと決めて処分したんです。ところが、新しく気に入るコートがぜんぜん見つからない。仕方がないので“その場しのぎ”のために大して気に入ってないコートを買ったのですが、その後、本当に欲しいコートが見つかって、その前に買ったコートはほとんど着ることがなく無駄になりました」
ファッションアイテムでは、アクセサリーの処分も要注意。整理収納アドバイザーの井田典子さんが言う。
「私が片づけのアドバイスをした人の中に、アクセサリーをたくさん持っているからと、やみくもに捨てた人がいました。ところが、しばらくしたら寂しくなって、また買い直したとのことです。納得できるまで考えず、捨てることばかりに意識が向いていると失敗しがちです」
節約アドバイザーの丸山晴美さんは、昔着ていた服やバッグを勢いで捨てるのはあまりにもったいないと指摘する。
「昨今のファストファッションと違って、親世代が若い頃に買った服やバッグは生地も上質で、縫製がしっかりしているものが多い。片づけのコツとして、『必要なら、また買えばいい』とよくいいますが、同じくらい質のいいものを買い直すと、かなり出費がかさみます。
サイズが合わなくなってしまったりデザインが若すぎて自分が着られなくても、娘や孫に譲るという手段もある。実際に、母親が若い頃に使っていたコートやバッグを愛用している若い人は多いですよ」