投資情報会社・フィスコが2月28日~3月4日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は底堅い値動きか。ロシアによるウクライナ攻撃は首都キエフを含めたウクライナの主要拠点を制圧した後も続く可能性があり、ウクライナ情勢の混迷が深まるなか、主要国の株価続落ならリスクオフのムードで主要通貨に対して円が選好される地合いが続きそうだ。ただ、安全逃避的なドル買いも引き続き観測されており、ドルは対円でも下げづらい展開が予想される。ロシアのプーチン大統領は2月21日、ウクライナ東部にある親ロシア派2地域を独立国家として承認し、欧米は対ロシア制裁に踏み切った。市場では平和的な解決が見込まれていたが、外交努力への期待は後退。ロシアは24日、ウクライナへの軍事侵攻を開始した。ウクライナ問題の泥沼化によって安全通貨とみなされているドル買いはしばらく継続しそうだ。
一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は金融正常化の基本方針を変えていないとみられる。ロシアによるウクライナ攻撃が金融市場に与える影響を考慮しつつ、3月の利上げサイクル入りの可能性は高いとみられる。3月4日発表の2月雇用関連統計で労働市場の活性化が確認された場合、3月15-16日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)に向けドル買い基調が強まるだろう。
【米・2月ISM製造業景況指数】(3月1日発表予定)
3月1日発表の米2月ISM製造業景況指数は58.0と、前月の57.6を小幅に上回る見通し。節目の50を大きく超えるものの、市場予想を下回った場合、経済成長の鈍化が意識されそうだ。
【米・2月雇用統計】(3月4日発表予定)
3月4日発表の米2月雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比+40.0万人、失業率は3.9%の見通し。市場予想とおおむね一致し、米雇用情勢の改善が確認された場合、金融正常化を期待したドル買いが強まる可能性がある。