人口減少による税収減の緩和や地方と大都市の格差是正を目的に実現した制度「ふるさと納税」は、発足時の受入額こそ81.4億円で低迷していたものの、2015年度から急上昇に転じ、2020年度実績では約6725億円と前年度比約1.4倍となった(2021年発表の総務省データによる)。
さまざまな“お礼品”は、ふるさと納税の大きな魅力だが、なかにはユニークなものもある。ふるさと納税サイト『さとふる』広報の井田尚江さんが紹介する。
「青森県むつ市のホタテ加工事業者が、2021年の下北豪雨からの復興アイディアとして『ホタテ水着』をお礼品に登録したところ、これがSNSで“遊び心がある”と話題に。むつ市全体への注目度も上がるなどの波及効果を生んだのです」
つまりアイディア次第で、ふるさと納税は地方の貴重なPRの場にもなるというわけだ。
「さらにいえば、福岡県の朝倉市が2017年の九州北部豪雨で被災したことがありましたが、その際、ふるさと納税でお礼品なしで集まった寄付金が復興に充てられたのも記憶に新しいところ。こうした災害支援は熊本地震やその他の被災地に対しても行われるようになり、最近ではウクライナ人道支援の寄付をふるさと納税で募る自治体も登場しています」(井田さん・以下同)
どんなお礼品が人気となるのだろうか。
「たとえば、『お礼品の種類を増やして登録する』とか『少しでも利用しやすく工夫する』、『情報発信を積極的に行う』など単純で小さな積み重ねが大事。どの地域にも伸びしろとチャンスはあるのです」