民法改正により、4月1日から成人年齢が18歳に引き下げられた。これまでは20歳未満は未成年とされ、高額な金銭契約など親の同意を得ずに契約した場合「未成年者取消権」によって契約を取り消すことができたが、今では18歳以上が“契約に対して責任を負う”立場になった。そうしたことから今後、契約に関するトラブルが増加することも懸念されている。
その一例となるのが、大学生が保護者の同意なく、「脱毛」の月賦払い契約を結び、月々の返済に追われるケースだ。若年層に広がりつつある「脱毛ローン」の実態とその問題点についてリポートする。
学生向けプランで「24回払い」「48回払い」を用意
電車内を見渡すと複数の脱毛広告が目に留まる。特に女性に人気があるのは一気に全身のムダ毛を処理することができる「全身脱毛」のプランだという。関西の脱毛サロンで勤務していた元エステティシャンの女性・Aさん(27歳)が語る。
「全身脱毛プランの相場は、脱毛サロンならば15万~25万円ほど。医療脱毛を行うクリニックでは、30万~40万円ほどです。大学生が一括払いをするのは難しい金額ですよね。それでも、高額にもかかわらず、若年層の方が気軽に契約してしまう背景に、分割払い(ローン)の存在があります。実際、契約される方の多くがこの形態で支払いをしています。
脱毛の場合はショッピングローンや医療ローンを組むことができ、前者の場合はクレジットカードを持っていなくても契約が可能。全身脱毛にかかる総額を、好きな回数に分割して払うことができるため、学生は『こんなに安く脱毛ができる』と思い込んでしまうわけです。
なかには、サロン独自のローンやデビットカード払い、電子決済などを導入するところも増えているので、そこまで厳しい審査を経なくても契約ができるのが現状です。ローンの仕組みを知らない学生さんの中には、クレジットカードの分割払いよりも手数料が高い、サロン独自のローンを組んでしまうケースもあります」(Aさん)
学生向けプランとして24回払い、48回払いなどのローンを用意しているサロンもあり、アルバイトで生計を立てているような学生も、「月3000円」「月1万円」といった言葉に釣られて契約書にサインをしてしまうという。そして、成人年齢が18歳に引き下げられたことで、18歳や19歳でも、保護者の同意なく契約が成立するようになった。