「最近のテレビはつまらない」という声を耳にするようになって久しい。その一方で、動画配信サービスなどを通して過去の名作ドラマを手軽に見られる環境が整ったことで、「ドラマ黄金期」と称される1990年代の名作ドラマに興味を持つ若い世代もいるようだ。
彼ら/彼女たちに話を聞いたところ、特に惹かれているのが、「月9」を中心としたフジテレビの名作ドラマの数々。放送当時は生まれたばかり、あるいは生まれる前で、もちろんリアルタイムでは見ていないが、どんなところに魅力を感じているのか。
『ロンバケ』に「キュンキュンが止まらない」
メーカーに勤める20代女性・Aさんは、同僚と木村拓哉の話をしたことをきっかけに、90年代ドラマを見るようになったという。
「同僚が、『昔のキムタクの恋愛ドラマにハマっている』と興奮した様子で語ってきたんです。私からすると、木村拓哉はどん底から立ち上がるようなドラマの印象が強くて、恋愛モノの印象は薄かったので、ピンときませんでした」
そこで勧められたのは『ロングバケーション』(1996年/フジテレビ系・以下同)だった。Aさんは、同僚が約25年前の作品に夢中になっている理由が最初わからなかったが、見始めたらすっかりハマってしまったという。
「まず、オープニングがおしゃれでびっくりしました。主題歌もいいし、挿入されるタイミングが絶妙。木村拓哉がかっこよくもかわいくもあって、衝撃的でした。携帯がない設定なので、新鮮な部分も多いですけど、年上女性と年下男性の恋愛関係でこんなにニヤニヤしてしまうとは(笑)。セリフ回しが少女漫画的だからでしょうか、キュンキュンが止まりません」(Aさん)
その後、Aさんが40代の女性上司に『ロンバケ』を見たという話をしたところ、大いに盛り上がったという。
「ランチに行った時にたまたま『ロンバケ』の話をしたら、上司はリアルタイムで見ていたようで、めちゃくちゃ盛り上がりました。カラオケで90年代ソングを歌った時のような感覚ですかね。往年の名作を通して、世代を越えたコミュニケーションができるのもいいなと思いました。同僚と上司から次は『あすなろ白書』(1993年)か『ラブジェネレーション』(1997年)を見るように言われました」(Aさん)