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飲食店への嫌がらせで「嘘の通報」を繰り返し業務妨害 どんな罪になるか?

通報されるようなことはしていないのに…(イラスト/大野文彰)

通報されるようなことはしていないのに…(イラスト/大野文彰)

 複数のテナントが入る商業ビルやオフィスビルでは、ときに入居者同士の間に軋轢が生まれることもある。もしも、別の店から嫌がらせを受けたらどうすればいいのか──。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。

【相談】
 ビルの飲食店街で店を営んでいますが、うちの店の「看板が通路からはみ出している」「BGMが大きくて迷惑」などと警備室に嘘の通報をする人がいるので困っています。通報者は匿名ですが、おそらく隣店の人だと思います。うちの店は行列ができることがあるため、隣店に妬まれて悪口を言いふらされた過去があります。もちろん通報されるようなことはしていませんが、通報されるたびに警備員が来るので、回数が多いとビルを退去させられる可能性もあります。どうしたらよいですか。(50才女性・飲食店経営)

【回答】
 実際には看板のはみ出しがなく、BGMも適度の音量であれば、通報者は警備室に嘘を言って、看板のはみ出しや大音量のBGMが流されているように思わせ、警備員をあなたの店まで駆けつけさせたことになります。この結果、派遣された警備員が本来警備室で対応すべきほかの業務ができなくなります。あなたは退去させられないか心配していますが、それだけでなく、駆けつけた警備員への応対に追われ、肝心の飲食店のサービスが中断させられて困っているのではありませんか。

 要するに通報者は、虚偽の通報によって、あなたが看板のはみ出し等のビル管理上不都合な営業をしていると信じ込ませて、警備員やあなたの業務を邪魔したことになります。

 他人の業務を妨害する意図で、嘘を言って誤解させることを手段として実行し、他人の業務を妨害すると、刑法233条の定める「偽計業務妨害罪」を構成し、3年以下の懲役か50万円以下の罰金で処罰されます。今回のケースも、虚偽の通報で警備員をだまし、警備員やあなたの業務を妨害しています。

 通報者が特定できない現時点では、通報の目的は明確ではありませんが、虚偽通報が執拗に繰り返されていれば、警備員やあなたの業務妨害を意図していると推測されます。その場合は犯罪ですから、警察に相談することがいちばんです。業務を妨害されているのは警備員も同様ですから、ビルの管理会社などと相談し、一緒に警察に被害届を出して捜査してもらうのがよいでしょう。

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