手ごろな価格で豊富なメニューを提供してくれる「ファミレス」こと、ファミリーレストラン。家族や友人と一緒の時はもちろん、一人での食事や休憩で使う人も多く、さまざまなシーンで利用されている。そんなファミレスが、ここに来て苦境に喘いでいる。
8月12日には、ファミレス大手のすかいらーくが、ジョナサンやガストなど100店舗の閉店を発表している。また、他のファミレスを見ても、コロナ禍でロイヤルホストやジョイフルなどもすでに店舗数を削減している。8月18日に帝国データバンクが発表した「ファミレス運営主要16 社・店舗展開動向調査」によると、これから閉店ペースは再加速し、年度末までに1000店舗が閉店見込みだという。
ファミレス不振の背景には、リモートワークの普及でオフィス街の店舗の客足が戻らないことに加え、原材料高や人材確保難が重なっていることが指摘されている。だが、はたしてそれだけだろうか。かつてファミレスが好きでよく足を運んでいた人に“ファミレス離れ”した本当の理由を聞いた。
ファミレスは「夜、仕事が捗る場所」だった
かつては週2~3日ペースでファミレスに通っていたというのは、ECショップを運営する30代女性・Aさんだ。ファミレスは「夜、仕事が捗る場所」だったという。
「ネット環境とパソコンさえあれば、ある程度仕事ができることもあって、以前からカフェやファミレスはよく利用していました。中でも深夜とか24時間営業をするファミレスは、仕事をする場所として重宝していたんです。家だと何やかんや集中できない時に、ファミレスに行けば仕事中も好きなときにご飯が食べられるし、ドリンクもある。空調が効いていて快適ですしね。夜ご飯とドリンクバーを注文して、デザートを食べ、そのまま朝ご飯まで食べて家に帰ったこともあるくらいです」
よく利用していたにもかかわらず、足が遠のいてしまったのは「深夜営業の廃止」がきっかけだった。
「コロナ以降、近くのファミレスが22時閉店とかになったんです。正直、22時閉店だと、ファミレスじゃなきゃいけない理由がないんですよね……。それなら家で仕事しようかなとか、カフェでいいやってなっちゃう。ただ、やっぱり深夜のファミレスの独特の雰囲気が好きだったので、恋しくはなります」(Aさん)