韓国の株式市場を代表するベンチマークである韓国総合株価指数(KOSPI)が史上最高値を更新したのは2021年6月25日。場中で3316.08ポイントの高値を付けたが、その後は長期の下落トレンドが発生している。今年の7月4日には安値2276.63ポイントを記録しており、最高値からの下落率は3割を超えた。一旦切り返したものの8月中旬以降は再び下げに転じており、9月5日は2403.68ポイントで引けている。安値を試す動きとなっている。
一方、為替レートをみると、2020年11月には1ドル=1084ウォンで高値を付けた後、下落トレンドとなり、9月5日は1ドル=1369ウォン(ドル高ウォン安)まで下げている。これは金融危機直後の水準、約13年ぶりのウォン安だ。
輸出立国の韓国では、通貨安は、主力産業である輸出関連企業の競争力を高めることから、株高に繋がるはずではなかったのか。なぜ株安なのか。その要因を探ってみると、韓国経済の厳しい現状が見えてくる。
まず、代表的な輸出製品である半導体の世界需要が減少しているため、ウォン安の恩恵が十分発揮されていない。8月の半導体輸出は▲7.8%。マイナスとなるのは2020年6月以来である。
新型コロナ禍、米中デカップリング、ロシアによるウクライナ侵攻などにより、一部でサプライチェーンが寸断されたが、その修復が進んでいない。グローバルで供給側に問題が生じていることも輸出産業の業績の足を引っ張る要因となっている。
供給側の問題はエネルギー、一部の非鉄金属や農産物など、サプライチェーンの寸断以外にも発生しており、そのことが、輸入価格の上昇を引き起こし、ウォン安でもともとコスト高となる内需経済へのダメージを増幅させている。
その結果、7月の韓国の交易条件指数(輸出物価指数/輸入物価指数)は11.4%下落、16か月連続の悪化となった。
要するに、ウォン安が貿易赤字を助長させる状態となっている。8月の貿易収支は▲95億ドルで、5か月連続の赤字、月ベースでは過去最大の赤字幅を記録した。