快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた

マツダのSUV新戦略の成否を左右する「CX-60」試乗ルポ 幅広い価格帯ゆえの悩みも

垂直に立ったフロントマスクは押し出し感もあり、プレミアムSUVらしい存在感を出しているマツダの「CX-60」

垂直に立ったフロントマスクは押し出し感もあり、プレミアムSUVらしい存在感を出しているマツダの「CX-60」

 9月15日より販売開始となったマツダの「CX-60」。同社のSUV新戦略の第1弾となるプレミアムSUVの実力やいかに? シリーズ「快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた」、今回は自動車ライターの佐藤篤司氏が「CX-60」に実際に同車に試乗したうえで、そこで感じた魅力や、販売価格の印象についてレポートする。

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 現在のマツダ車を支える魅力といえば、スタイリッシュなデザインと軽快でスポーティな走り、そして燃焼効率のいいディーゼルエンジンなどがあります。そこに今度は「プレミアム」という、新たな魅力を追加するために登場したのが「CX-60」です。今回、試乗したのは、ディーゼルエンジンとマイルドハイブリッドを組み合わせたメイングレードのひとつ。これまでマツダにとって「手薄」と言われた電動化についても、ひとつの提案と言えるモデルです。

FRによって描かれる未来像

 現在、マツダが推し進めているのが「新世代ラージ商品群をグローバルに順次導入する」という戦略です。CX-60は、その戦略の第1弾となるモデルで、このクルマの成否が今後展開されるSUV新戦略の成否も左右することになるわけで、当然、力は入っています。

 ここで少し、メカニカルな話をします。このラージ商品群は「直列エンジンをフロントに縦置きにして後輪を駆動する、いわゆるFR(後輪駆動)プラットフォーム」を新開発し、採用しています。これは高級車らしい乗り味やパッケージング、さらに電動化にまつわる補器類を装着しやすいなどの理由があるからで、メルセデス・ベンツなどの高級ブランドも採用を続けているレイアウトです。だからでしょうか、メーカーの説明からは「CX-60 のライバルはメルセデスやBMWの中型SUVあたり」という思いをヒシヒシと感じ取ることができます。

 そうなると問題は、その完成度ということになります。早速、目の前に登場した「XDハイブリッド エクスクルーシブスポーツ」というモデルをチェックしましょう。搭載しているエンジンは3.3Lの直列6気筒ディーゼルターボで、最大出力は354馬力。そこに16.3馬力、最大トルク153N・mの電気モーターを装着した「48Vマイルドハイブリッドシステム」です。ディーゼルエンジン人気が高い日本の市場では、この判断は正解だと思います。

 ちなみにCX-60にはマーケットやユーザーの要望に合わせるため、4気筒ガソリンエンジンや、電動化に関する補器類がさらに多く必要となる、マツダ初のPHEV(プラグインハイブリッド)なども展開されます。時代にとって不可欠な環境対応と、多様化するユーザーの要望に応えるためにもFRレイアウトは必須だったことが理解できます。

 一見するとスタイルは6気筒エンジンを縦に置いたFRらしく、ボンネットフードが長めであり、同時にそれとバランスを取るようにルーフラインも伸びやかな佇まいです。フロントマスクはこれまでのマツダデザインの中にあり、個性は明確に象徴できています。おまけにボディサイドの面構成は筋肉質というか力強いというか、高級SUVとしての押し出しを感じるプロポーションが印象的です。見慣れたはずのマツダデザインですが、スタイリッシュという点においては、今もって古さを感じさせないところが魅力です。多分、ラージ戦略は今後、SUVだけでなくマツダのサルーンにも採用されるでしょう。つまり、CX-60の背を低くした、伸びやかでスポーツカーのような高級サルーンが予想できるのです。

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