欧米の市場関係者たちはグローバル市場における株価変動要因の一つとして、中国のゼロコロナ政策を強く意識しているようだ。
中国経済の浮沈がグローバル経済に与える影響に加え、サプライチェーンが寸断されることによる自国経済への影響を懸念している。需要、供給の両面から悪影響があると考えているわけだが、特に気になるのは後者の方だ。
米国は足元ではピークアウトしつつあるようにみえる消費者物価指数(上昇率)だが、最大の輸入先である中国からモノが入らなくなれば、物価は高止まりしかねない。
中国側の貿易統計では、10月の中国の輸出(ドル建て、以下同様)は0.3%減であった。1-6月期が14.2%増で、7月は18.0%増と好調であったが、8月は7.1%増、9月は5.7%増と伸び率が鈍化、10月はとうとうマイナス圏に突入している。
米国向け輸出(米国から見れば中国からの輸入)をみると1-6月期には15.8%増で、全体の伸び率を上回っていた。しかし、7月は11.3%増、8月は3.9%減、9月は11.5%減、10月は10.7%減と全体の伸び率を大きく下回っている(国別の原データでは単月の伸び率は記載されないため、単月、累計の金額、累計の伸び率から推計した、以下同様)。
4月下旬から10月末までの期間、ドル高基調が続いたので、数量ベースの動きを確認したい場合は、ドル高の影響を加味する必要があるが、人民元建てのデータを確認すると、1-6月期の段階から米国向け輸出は全体を下回った状態が続いている。数量ベースで確実に中国から米国向けの輸出は低調であると考えてよさそうだ。
これは米国側の需要が鈍化した、あるいはサプライチェーンの構築が進み、中国離れが始まったからなのか、それとも中国側の米国向け供給が滞ったのか。もし後者が低調の主な要因なら、ゼロコロナ政策によるサプライチェーンの一部寸断などの影響である可能性が高い。