葬儀やお通夜に参列する際、気になるのは服装マナー。調べれば調べるほどさまざまな声があり、戸惑った経験はないだろうか。女性はパンツスーツでも問題ないのか、革靴はアウトなのか……等々、迷ってしまうことは少なくない。故人や家族に失礼に当たらない服装とはどんなものなのか。葬儀マナーに悩んだ経験を持つ人のリアルな声とともに、葬儀のプロの見解を紹介しよう。
デパート店員は「“最善”を尽くすのが礼儀」と言うが…
メーカー勤務のAさん(40代女性)は、数年前祖父の葬儀に参列するため、喪服を用意する必要があった。それまで、通夜に参列したことはあっても、葬儀の経験はなかった。喪服の「正解」がわからず、デパートに駆け込んだ。
「黒いパンツスーツなら持っていたので、それではダメなのかと店員さんに質問したら、パンツスーツは“微妙”という答えでした。ベストの服装はワンピースのアンサンブルで、『社会人経験が少ない20代ならともかく、40代ともなると、上の世代から“常識”を疑われる可能性もあるので、新しく買った方がいい』と言われ、そんなものかと思ってアンサンブルを買いました。
店員さんの話では、『靴やバッグなど革製品を身につけて参列するのは“殺生”を想起させるから避けた方がいい』ということでしたが、しょっちゅう使うわけではないものをすべて揃えるのは無駄だと思い、それらは手持ちのもので誤魔化しました。葬儀本番では革靴の人もパンツスーツの人もいて、“マナー警察”がいなかったことにホッとしました。
店員さんは『故人への気持ちがあるなら“最善”を尽くすのが礼儀』と言っていましたが、やっぱり無駄ですよね。アンサンブルだって、多分今はもうサイズがキツイので、今度葬儀に参列するようなことがあっても着られない……。次は全てレンタルでいいかなと思います」(Aさん)