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「通夜はやらない」「香典は辞退」 簡略化が進む「葬儀の今」と問われるその意義

香典を辞退するケースも増えているという(イメージ)

香典を辞退するケースも増えているという(イメージ)

 かつては葬儀に時間やお金を費やすことも珍しくなかったが、その価値観は薄れつつある。近年は近親者だけの家族葬や、通夜・告別式を行わない直葬など、コンパクトな葬儀を選ぶ人たちが増えている。コロナ禍では、そうした傾向にさらに拍車がかかっているようだ。実際に“簡素”な葬儀を選んだ人の声を紹介するとともに、葬儀社現役社員に、簡略化・合理化が進む「葬儀の今」について聞いた。

 昨年、90代の母親を亡くした70代主婦・Aさん(愛媛県出身/現都内在住)。母親からは生前、「私が死んだら、葬儀は好きにしていい」と言われていたこともあり、Aさんは、まずコロナ禍であることを考慮して、人を呼ぶ通夜は省略することにした。そして納棺、告別式、火葬をすべて同じ日に行う『一日葬』を検討したが、最終的には火葬のみの「直葬」を選んだ。

「姉妹で話し合った結果、親族だけでお別れする『直葬』にしました。母の知り合いを全て把握しきれていないうえ、告別式のご案内を出す人は少ないし、ご負担にもなるだろうと考えてのことです。昔は通夜でお酒を飲んだり、亡くなった人の話をしたりしたものですが、私自身、そういった葬儀が減っているのを体感していて、もうそんな時代でもないのかなと……。私の時も、葬儀はなるべく子供に負担をかけたくないので、『直葬』でいいと思っています」(Aさん)

「終活」サービスを提供する鎌倉新書の「第5回お葬式に関する全国調査(2022年)」によれば、2020年に48.9%の約半数が「一般葬」を選んでいたが、2022年では25.9%に激減。一方、家族葬は40.9%から55.7%、「直葬」も4.9%から11.4%に増加している。

 葬儀をコンパクトにすれば費用も抑えられる。「小さなお葬式」を運営するユニクエストによる葬儀費用の調査では、2021年2月~2022年5月に執り行われた葬儀費用の全国平均は「一般葬」191万円に対し、「家族葬」は110万円、「直葬」は36万円だった。

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