中国で新型コロナウイルスの感染者数が急増している。国家衛生健康委員会が発表したデータによれば、11月28日における症状の出ている新規感染者数は3,561名(海外からの流入者は除く、以下同様)、無症状の感染者数は34,860名であった。
1週間前(11月21日)と比べて、症状の出ている新規感染者数は66%、無症状の感染者数は35%増加しており、4週間前(10月31日)と比べれば順に7.2倍、15.7倍に膨れ上がっている。
絶対数、或いは国民一人当たりの感染者数は、国際的な観点からすれば決して多くない。たとえば日本と比較すれば、日本の11月28日における新規感染者数は中国よりも多い49,117名である(NHK特設サイト「新型コロナウイルス」より)。また、日本の死者数は103人だが、中国はゼロである。数字だけ見れば、中国の感染状況は大騒ぎするほどのことはないように思われる。
しかし、中国は「ゼロコロナ(動態清零)政策」を堅持している。感染者の出ている地域では多くの場合、24時間以内に1回のPCR検査が義務付けられるほか、政府機関、食品を扱う小売店を除き、休業を余儀なくされる。もし、陽性となればそれがわかった時点で同居者全員が直ちに病院などの隔離施設に転送される。
中国の都市部ではほとんどの住民が多層階からなる集合住宅で生活しているが、たとえば、24階建てマンションに住むある世帯で感染者が出たとすると、その世帯の棟全体が封鎖され、同じ棟に住むすべての住民が一定期間、外出禁止となる。
もう一度、11月28日の統計に話を戻すと、無症状の新規感染者数34,860名の内、重慶、広東、北京、四川、山西では1,000名を超えており、その他23自治区、直轄市で100名を超えている。新型コロナウイルスは既に中国全土に蔓延している。
感染者数が増えてくると地方政府はマンション区画ごと封鎖を命じるようになり、そうなるとネットショッピングの受け渡しができなくなる。住民の便宜を図るためにマンション管理組織が代表して住民たちの注文を代行するケースもあるようだが、それにしても、消費への悪影響は避けられない。