離婚には「協議離婚」「調停離婚」「審判離婚」「離婚裁判」の4つの種類がある。日本の離婚の9割は協議離婚で、夫婦が話し合いの上で合意し、役所に離婚届を提出する。どちらか一方が離婚を拒否して協議離婚が成立しなかった場合は、調停か審判、裁判になり、司法の手を借りることになる。
民法上認められる離婚の条件は、【1】肉体関係を伴う浮気、すなわち「不貞行為」、【2】勝手に出ていって生活費を渡さないといった「悪意の遺棄」。【3】「3年以上の生死不明」。【4】「配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないとき」、【5】DVやモラハラなどの「婚姻を継続し難い重大な事由」だ。
裁判所ですんなり離婚が認められるのは、不貞やDVなどがハッキリと立証できた場合だ。ベリーベスト法律事務所の弁護士・日原聡一郎さんが説明する。
「不貞とはすなわち“配偶者以外の異性と肉体関係を持つこと”です。本人が不貞を否定している場合は、不倫相手とラブホテルに出入りする際の写真や、不倫相手との性行為中の写真、あるいは肉体関係があることを前提にしたLINEやメールのやりとりなどの証拠が必要です。“夫が女性と腕を組んで街を歩いているのを見た”“夫のシャツに口紅がついていた”といった程度では、立証できる証拠にはなりません」
法廷で役立つ証拠の多くは、本人のスマホの中にあるということだ。スマホが普及する前は、mixiやFacebookが証拠になっていたが、肌身離さず持ち歩くスマホから、証拠になるものを見つけ出すのは困難だ。
「配偶者のスマホを勝手に見ると、プライバシーの侵害によって慰謝料や損害賠償責任が生じる可能性があります。しかし、実際に請求されたという話は聞いたことがない。それに、もし請求されたとしても、数万~数十万円ほどです」(日原さん・以下同)
DVを受けた場合はすぐに医師の診察を受け、診断書をもらっておくことで証拠になる。日記も有効だが、それ単体での証拠能力は弱い。
「日記は、一方的に自分の認識を書き記しているだけとも取れるからです。日記だけでなく、医療機関での受診や行政への相談など、客観的な事実をつくっておくことが大切。調停や裁判になったときに受診や相談の記録があれば、日記の記述内容の裏づけにもなります」