昨年10月、「卵巣がんの疑い」で患部の摘出手術を終え、退院したオバ記者こと野原広子さん(65才)。病名は「境界悪性腫瘍」。良性腫瘍と悪性腫瘍の中間に位置づけられる「境界悪性腫瘍」は、医学的にはがんの部類に入るが、保険業界の視点からは「がんではない」と判断され、がんに対する保障の対象外となる。
2つのがん保険に加入していた野原さんは、支払われる金額を病床で調べたものの、想定よりかなり低い額しか受け取れないことにがっかりするとともに、生命保険の大切さや複雑さ、難しさを感じた。「改めて保険について勉強したい」と思った野原さんは、旧知の外資系生命保険会社の営業マンS氏(41才)と連絡を取り、さまざまな疑問をぶつけた。【全4回の第4回。第1回から読む】
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S氏:生命保険はそもそも教会の牧師たちが作った組合から始まったという説もあります。ちなみに、日本に生命保険を持ってきたのは、あの福沢諭吉なんです。
野原:へー、知らなかった。
S氏:もともと生命保険の販売員は知的専門職でしたが、日本では戦後、夫を亡くした多くの女性を生命保険会社が営業として採用した歴史があります。そのため、売りやすいパッケージ商品にしたことで、日本独特の保険のスタイルが生まれたのです。
野原:それが保険のおばちゃんの始まりね。
S氏:ただ、昔の保険といまの保険はかなり違ってきました。昔はわりと65才くらいまではたくさんお金が出るんだけど、そこから先はもうお金が出ないものが多かった。だからこそ一度くらいは保険の見直しをした方がいい。
野原:そうね。自分が高齢者と呼ばれる年代になってみると、考え方もずいぶん変わる。若い頃は、葬式やってどこかのお墓に入る200万円程度が残っていればいいやと思ってたけど、やっぱり、体の不安を抱えたまま過ごすより、安心できる保険に入っておきたいと思うようになったわ。私の保険、どう見直したらいいかしら?
S氏:野原さんの場合はがん保険が2本あり、すでに払込終了した終身保険の保障もあるので、がん保険を1本にするのもアリだと思います。ただ一度解約してから、新たに契約する場合はそのときの健康状態で診査をすることになるので、健康状態によっては契約が難しいこともあります。現在の保険から新しい保険に契約する際は、新しい契約が無事成立してから古い契約を解約してください。
野原:“のりしろ”が必要ってわけね。