厚生労働省によると、2020年10月時点の外国人労働者数は170万人を超えており、コロナ禍でも過去最高を記録しているという。人材獲得の選択肢として、外国人労働者を検討する企業も少なくないだろう。外国人労働者を雇用する上での注意点はあるだろうか。弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。
【相談】
工場を経営しています。今年に入ってから急に注文が増え、人手不足。そのため、知人の日本語学校の関係者に、バイトでもよいので生徒を紹介してほしい、と頼み込みました。ただ、今まで外国人を雇ったことがなく、なにかと不安です。彼らを雇い入れる場合、気をつけなければいけない点を教えてください。
【回答】
語学留学生は出入国管理、及び『難民認定法』(入管法)上、原則として就労できない在留資格ですが、語学学習という在留資格の本来の活動の邪魔にならない就労なら、1週28時間以内のアルバイト的活動は許可を受けて可能となります。
その許可は、留学生の住所地を管轄する出入国在留管理庁に「資格外活動許可申請書」を提出して受けなければなりません。無許可で就労すると、入管法違反になります。そこで適法な就労を受けるためには、こうした就労資格を確認してくれる、資格のある職業紹介事業者の紹介によることが望ましいといえます。
外国人労働者を雇い入れた時には、『労働施策総合推進法』により、労働者の氏名、在留資格、在留期間等について事業所の所在地を管轄する公共職業安定所に外国人労働者の雇用状況の届け出をする義務があり、違反すると30万円以下の罰金の制裁があります。その際には、留学生の在留資格証明書や上記の資格外活動許可書等の提示を受けて確認することが必要です。退職などで変更があった時にも届け出が必要となります。もし、留学生を10人以上継続的に雇用する場合には、人事課長などを外国人労働者の雇用管理に関する「雇用労務責任者」に任命し、管理させることが求められます。