人生の後半戦は、「お金」が特に重要テーマとなる。人生100年時代の“長生きリスク”に備えながら、どうすれば豊かな暮らしを続けられるのか。毎月の支出のうち、住居費と同様に大きなウエイトを占める保険料。特に、将来受け取る保険金が目減りするインフレ下では、「貯蓄型」の医療保険の解約が支出削減の有力候補となる。消費生活アドバイザーの丸山晴美氏の話。
「物価が高騰しても所得はなかなか増えず、超低金利状態が続いています。バブル期に加入した利回りの良い貯蓄型保険なら見直す必要はありませんが、それ以外の貯蓄型保険は満期を迎えても返戻金の利回りは年1%を切る商品がほとんど。今後、仮に金利が上がった場合のメリットもありません。短期的には解約による元本割れの損失があったとしても、長期的なコストを考えれば、早めに解約して掛け捨て保険に乗り換えたほうが良いケースがあるのは事実です」
満期や解約時の「返戻金」や「健康給付金」などがない掛け捨て型では、月々の保険料が大幅に安く設定されている。いつでも解約できるため、ライフステージや家計の状況に応じて他の保険商品に乗り換えやすいこともメリットのひとつだ。
「貯蓄型に回すお金を現金で持っていれば、必要な時にいつでも取り出せます。株や投資信託、不動産投資など資産形成に多くの選択肢があるなか、貯蓄型保険にお金を充てるのが最適かと言われると疑問です」(丸山氏)
真っ先に見直しの対象となるのが、数十年前に契約した貯蓄型の生命保険に「入院保障特約」を付けているケースだ。
「特に死亡保障などの主契約に附帯する『特約』は、無駄を見落としがち。50代や60代で入院した際、給付金がもらえずに驚く人がいます。古い保険商品は給付条件として『入院から7日目以降』となっているものもあり、入院日数が短期化する現在、特約のメリットを享受する機会が減っています。日帰り入院でも給付される掛け捨て型の保険に切り替える選択肢もあるのでは」(丸山氏)
さらに、主契約の生命保険が更新型の場合、年齢に応じて特約の医療保険料が引き上げられるケースが少なくない。保障内容は同様でも、掛け捨て型単体に比べ割高な保険料を払い続けていることが往々にしてあるという。