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「年金をもらいながら働く人」の確定申告のススメ 配偶者控除を巡る誤解には要注意

年金収入は年末調整の対象外なので雑所得として申告する必要がある(イメージ)

年金収入は年末調整の対象外なので雑所得として申告する必要がある(イメージ)

“定年を機に完全リタイアして悠々自適の年金生活”──そんな生き方はなかなか望めなくなってきた。「働きながら年金受給」が当たり前となり、厚生年金の受給権を持ちながら在職中の人は約400万人に及ぶ(厚労省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」より)。

 そうした人たちにとって税金を取り戻す重要な機会となるのが2月16日~3月15日の確定申告だ。

 定年後も再雇用などで働き続ける人は、“年末調整があるから関係ないだろう”と思いがちだが、そうではない。

「年金を受給しながら会社勤めで給料をもらっている人は、基本的に確定申告が必要になります」

 そう話すのは『年金生活者・定年退職者のための確定申告』の監修者である山本宏・税理士だ。

「毎月の給与からは所得税が源泉徴収(天引き)され、その過不足については年末調整を受けられますが、年金収入は年末調整の対象外なので雑所得として申告する必要があります。また、医療費を一定の水準以上に負担した際の『医療費控除』などの所得控除は年末調整には反映されないため、本来納めるべき額より多く税金を払っていることがある。そうした場合も、還付を受けるには確定申告が必要です。手続きはそれほど複雑ではありませんし、やってみると得になるケースが少なくありません」

 山本氏が働きながら年金を受給する人の相談に乗った際の事例では、天引きされていた所得税24万円のうち、14万円以上が還付されたという。

「給与が年収200万円、公的年金が年300万円という大企業を定年退職した後に働いているケースでしたが、給与所得控除や社会保険料控除、生命保険料控除や配偶者控除などを引いていったところ、課税される所得は190万円となった。所得税率は5%で、復興特別所得税も合わせて9万6995円が“正しい納税額”に。すでに天引きされた所得税24万円との差額である14万3005円が還付されたわけです。仮に、前年の医療費の自己負担が10万円(ないし総所得の5%)を超えていればこれに加えて医療費控除が使えるため、もっと多くの税金の還付を受けられます」(山本氏)

 年金を受け取り始めてからも長く働くという前提なら、このケースでは確定申告を5年間続ければ約70万円、10年間なら約140万円も老後資金に差が生じるわけだ。

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