間取り図に書いてあった面積よりも、実際の面積が狭かった──賃貸物件では、そんなトラブルもある。退去時にその事実に気づいた場合、何らかの「補償」がされることはあるのだろうか。賃貸物件のトラブル解決に定評のある司法書士・太田垣章子さんが、実際の相談に答える形で、解説する。
【相談】
6年住んだ、家賃10万円の1Kマンションを退去することになりました。父親の介護が始まり、実家に戻ることにしたからです。
引っ越しのときに、姉夫婦が手伝いに来てくれました。昔、建築関係の仕事をしていた義兄が、入居時にもらった間取り図をたまたま手に取って見ていたのですが、
「あれ? この部屋、この間取り図よりもちょっと狭いんじゃないかな?」と言い出したのです。
すべての部屋はフローリングなのですが、広さは「畳」で書かれており、間取り図には、キッチン4.5畳、リビング6畳と書いてありました。でも、実際に測ってみると、4畳と5畳のスペースしかなかったのです。義兄は、
「マンションの場合、壁芯(壁の中央部)から面積を測ることもあるからね。それに、ベランダも床面積に入っていることもあるから。そもそも“畳”ってアバウトな単位で、同じ1畳でも京間は約1.8平米、江戸間は約1.5平米、団地間は約1.4平米と違うから、これも誤差の範囲内かもね」
と教えてくれたのですが、だまされたみたいで悔しいです。
退去の確認のときに管理会社に、「物件の間取り図に書いてあった面積よりも、実際の家がかなり狭かったんですが」と言うと、
「契約書には『現状有姿』(※)と書いてありますよね。それにあなたは内見してから納得してこちらのお部屋に決定されたんですよね」
(※現在あるがままの状態であること)
と言われてしまい、まるで私が悪いように責められてムカッ! 部屋が狭いことがわかるように、私が計測している動画を撮ってあります。これを証拠に不動産会社を訴えることはできるのでしょうか。その場合、どのような補償がされるのでしょうか。(43才女性・会社員)