賃貸物件に住んでいる場合、住宅備え付けの設備の不具合が発生したならば、大家に連絡して、対応してもらうのが基本だ。しかし、大家が全く動いてくれなかったら、どうすればいいのか。自ら修繕した場合、その費用を請求できるのか。賃貸物件のトラブル解決に定評のある司法書士の太田垣章子さんが実際の相談に回答する形で解説する。
【相談】
築30年のマンションに入居しています。昨年、ガスの定期点検に来てくれた作業員から、「そろそろガス機器を替えた方がいいですよ」と言われたため、すぐに大家に伝えたのですが、返事がないまま、半年以上放置されています。
キッチンの水道の蛇口もぐらついているし、トイレのタンクにいたっては、水道管が腐食しているのか、水漏れしています。このままでは床が腐ってしまうので、水道管の下に雑巾を敷いて、毎日交換しています。
こういった故障についても何度も大家に伝えているのですが、無視され続けています。このことを息子に言うと、「おれが直してやろうか?」と言ってくれました。
勝手に直していいものか、インターネットで調べてみると、賃借人が賃貸人に修繕が必要であると知らせ、または賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき、かつ急迫の事情があるときなら賃借人は、その修繕をできると、改正民法の第607条に書いてありました。
工事費用についても、民法第608条では、賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができると明記されていました。
このまま放置されるなら、自分で直して後から大家に費用を請求しようかと思いますが、その場合、気をつけるべきことはありますか?(53才・パート)