現在、アメリカも同様の状況になっており、Apple社、Google社などが本社を置くシリコンバレーでは、リモート化によってオフィス需要が激減。そのせいで、カリフォルニア州の不動産価格の下落が進んでいる。
「人口減は避けられないのに、日本は不動産の供給が多すぎます。今後、空き家や空きビルが増えるでしょう。そうなると、政府主導で対策が行われ、介護関連の施設になることが考えられます」
『土地統計調査』(総務省統計局)の最新データ(2019年)を見ると、1988~2018年の30年間で、空き家は114.7%増え、全国に約452万戸存在する。そういった建物が別の用途で使われるならいいが、廃墟になる可能性をはらんでいる。特に、有明や晴海といった東京の湾岸エリアにあるタワーマンション(以下・タワマン)は要注意だという。
「1997年に建築基準法が改正され、都内にタワマンが盛んに造られました。建物は歳月とともに消耗し、外壁の修繕、配管の入れ替え、エレベーターの交換などが必要になります。多くのタワマンは築20年前後ですが、さらに老朽化が進むと住人も減り、巨額の修繕費用が出せなくなり、廃墟になる未来が予想されます」
では、これから狙い目の物件はどこなのだろうか。
「歴史や文化があり、自然が豊かな地域の不動産価格は下がりにくいと予想しています。リモートで通勤の必要がなくなれば、風光明媚な場所の家が求められます。都内近郊なら高尾、奥多摩、湘南、三浦半島、房総、伊豆、越後湯沢などが注目されるでしょう」
これからはライフスタイルに合った家で、過不足なく暮らすことが幸福の基準になるとみられている。そんな目線から理想の家を探してみたい。
【プロフィール】
榊淳司さん/住宅ジャーナリスト。1980年代後半のバブル期以降、四半世紀以上にわたってマンション分譲を中心とした不動産業界に携わる。『2025年東京不動産大暴落』(イースト新書)ほか著書多数。
※女性セブン2023年3月16日号