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入居費3億円でも待機者多数… 質素倹約を重視する富裕層がなぜ“高級老人ホーム”を選ぶのか

価値観が合う人と時間を過ごしたい

 私が調査した人のなかには、「昔の知り合いとは話が合わなくなった」と語る人が何人かいました。「お金持ちは、お金持ちとばかりつき合う」という話がありますが、やはり価値観の合う人と一緒の時間を過ごしたいのが人情なのでしょう。

 しかし、仕事を離れれば、それまでの人間関係がなくなってしまうこともあると思います。さらに、高齢になって周りの友人が減っていくと、ますます人づき合いは少なくなってきます。だからこそ、富裕層が似た状況の人たちの集まる高級老人ホームを利用するというのは、なんとなく理解できるのです。

 努力をして富裕層になり、富裕層として静かに生涯をまっとうする。そのために、富裕層は人生の最期に大きな買い物をするのかもしれません。

 富裕層に限らず、誰しもがいずれ人生の終わりを迎えます。そのときをどのようにして
過ごしたいかは、できるだけ具体的に思い描いておきたいものです。

 そうしたイメージをもつことは、今の生き方を考えるうえでも役立ちます。幸せな人生の終わりを真剣に考えれば、仕事や投資などに、より積極的にとり組もうという気になるのではないでしょうか。また、周囲の人とのつき合いや時間の使い方などを考え直すきっかけにもなります。

 もちろん、答えは1つではありませんが、まずは考えてみることが大切なのだと思います。

【プロフィール】
小林義崇(こばやし・よしたか)/1981年福岡県生まれ。2004年東京国税局の国税専門官として採用され、都内の税務署、東京国税局、東京国税不服審判所において、相続税の調査や所得税の確定申告対応、不服審査業務等に従事。2017年7月東京国税局を退局し、フリーライターに転身。相続に関する問題の解決をサポートする活動も行っている。

※『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』より一部抜粋して再構成

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