割り当てられた作業を黙々とこなす受刑者たち
民間企業から委託される製品の組み立てや加工が刑務作業のメインだが、民芸品を作ったり、受刑者の食事を作る、衣服を洗濯する、敷地の草取りをするなど、ライフラインを支える作業が密接に絡み合って刑務所は成り立っている。どの作業に就くかは、適性や性格を見て、刑務官が会議で決めているという。
「複数の受刑者を1人か2人の刑務官で管理監督をするのはたやすいことではありません。調理のときの包丁ほか、作業によっては刃物を使わなければならないものもあるし、やろうと思えば凶器になるものもある。そういう作業に適している受刑者を決めることから始まって、どんな指導をするときも、隙をついてなれ合ってこないように常に緊張しています。受刑者の中にはわれわれの何十倍もコミュニケーション能力が高い人間がいくらでもいますから」(青柳さん)
私たちが見学した日は青空の下、数人が農場で土を運んだり、スコップで穴を掘ったり。きびきびした動きを遠くから見ていると、彼らが罪を犯した人だということをつい忘れそうになる。
「受刑中に覚えたスキルを出所後に生かしてくれたら、こんなにいいことはないですけどね」(青柳さん)
刑務作業は昼休みや、途中の水分補給の短い休憩を入れて、1日7時間。土・日・祝日は休業だそう。