オバ記者:誰でもできる仕事じゃないですからね。自分の中に規律がないと務まらない。
青柳さん:ブレていては彼らにつけ込まれますからね。自分の中に核を持てるまでは、苦労も失敗もしました。
オバ記者:「刑務官は決して受刑者と親しくなってはいけない」と聞きましたが。
青柳さん:絶対になれ合ってはいけませんね。
オバ記者:でも、向こうは好かれようとしますよね。
青柳さん:取り入ろうとする人は当然いるでしょうね。
オバ記者:ちゃんと距離を保つのは難しいことだと思います。面白いやつだなんて思うと、好感を持ってしまいますよね。
青柳さん:それは職業人ではないですね。例えばカチンときたからカッとなるとか、好きな相手に甘くするというのは一般人の感覚です。でもこの制服を着ている以上、それは許されない。「冷静さを保つ」「毅然とした態度で接する」「適切な距離を保つ」「公平・公正に対応する」「温かみを持って接するのを忘れない」「不適切な言動は厳に慎む」「どんな被収容者であっても特別扱いをしない」など刑務官は全員、そういう教育を受けています。
オバ記者:なるほど。プライベートの自分とは別人と感じたりしますか?
青柳さん:街中を私服で歩いていると、部下ですら私の存在に気がつきません。
オバ記者:ええー! 何がそんなに違うんですか。
青柳さん:わかりません。