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「入所前の自分に戻っていないか?」 現役刑務官が受刑者たちに日々言い聞かせる言葉

調査官の青柳宏さんは受刑者たちとどう接しているのか

調査官の青柳宏さんは受刑者たちとどう接しているのか

 日本の刑務所で働く刑務官は、日々、どんな仕事をしているのだろうか。体験取材を得意とする女性セブンの名物ライター“オバ記者”こと野原広子さんが、新しい更生プログラムを導入する刑務所「喜連川社会復帰促進センター」(栃木県)を取材。同センターに勤務する、調査官の青柳宏さんに話を聞いた。【前後編の後編。前編から読む

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オバ記者:「喜連川社会復帰促進センター」に続いて取材させていただいた「黒羽刑務所」(栃木県大田原市)は、2022年3月に閉庁したんですね。

青柳さん:はい。1971年に開設し、定員が1780名と大型の施設でした。

オバ記者:そんなに多くの受刑者がいたら、見回りだけでも大変でしたよね。

青柳さん:ワンフロアに単独室が82あり、ひとりで収容されている場合でも(編註・複数人が入っていた時期もある)、82人の受刑者がいました。夜中にひとりで見回るプレッシャーたるや大変なものです。

オバ記者:怖い思いをしたことはあるんですか?

青柳さん:累犯(刑務所に収監された後、5年以内に新たな罪で有期懲役に処せられること)の受刑者に多いのですが、新人刑務官が配属されると“値踏み”してくるんですね。見回りでドアの前を通った瞬間、わざと「おーい!」と大声で呼び止め、こちらが動揺するか見定める。もしくは、愛想よく「出身はどこですか?」「年齢は?」と話しかけてくる。こういう問いかけには決して答えません。

オバ記者:なぜですか?

青柳さん:たわいない会話で懐に入り込まれると、いつのまにか取り込まれてるからです。

オバ記者:油断も隙もないのですね。記憶に残っている受刑者はいますか。

青柳さん:具体的には言えませんが、世の中にはゆがんだ側面を持つ人がいるんだと感じたことはあります。昼に見せる顔と、夜に見せる顔が、まったく違っていました。

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