会社員が副業を始める場合や、専業主婦が事業を始める場合など、「開業届」を出すとさまざまなメリットがある。大きいのは、最大65万円の青色申告特別控除が受けられることで、その他にも、屋号名義の銀行口座を開設できたりする。一方で、正しい知識をもって開業届を出さなければ、家計に負担を与えかねないというデメリットもある。開業届を提出する時に、知っておきたいリスクとはなにか、具体例とともに見ていく。
開業届は、原則として事業を開始した日から1か月以内に税務署に提出しなければならない。ただ、罰則がないため開業届を出さずに事業を始めている人も少なくないだろう。
【落とし穴1】健康保険の扶養から外れる
配偶者の健康保険の扶養に入っている場合、開業届を提出すると、健康保険の扶養から外れてしまうことがある。扶養対象外になると、健康保険料を自身で負担しなければならないため、家計に大きな影響を及ぼすことになる。
ただし、開業届を提出することで扶養対象外となるかは、配偶者が加入している健康保険組合によって異なるため、開業届を提出する前に確認したい。
開業届の提出によって扶養から外れない場合でも、年間収入が130万円(月額10万8334円)を超えると対象外となってしまうケースがある。また広告宣伝費や接待交際費などを経費として認めていない健康保険組合もあるため、確定申告での所得が130万円未満の場合でも健康保険の扶養から外れてしまうことも考えられる。
さらに月額10万8334円を一度でも超えてしまうと扶養対象外とする健康保険組合もあるため、収入や経費に関する扶養要件を確認しておくことが必要だ。