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開業届を出す前に知っておきたい「2つの落とし穴」 安易な気持ちで始めると損をする

【落とし穴2】本業を退職したときに失業保険が受けられない

 開業届を提出した場合は、失業保険が受給できなくなってしまう。例えば、会社員をしながら開業届を提出した人は、退職後に失業保険の受給申請をしても受け取れない。なお、開業届を提出していない状態でも、今後開業する事業による収入があれば受給対象外となるケースもある。

 開業届の提出や収入を隠して失業保険を受給すると、不正受給と見なされ、失業保険の受給金額の返納が求められる。さらに不正受給額の2倍を追加納付することが命じられるので、結果として大きな負担となる。

 失業保険の受給期間は、原則として1年間とされているが、最大3年間まで延長できる特例がある。つまり、事業開始から廃業するまでの期間が3年以内であれば、失業保険を受給する権利が得られるのだ。この特例を利用するには、事業を始めたり専念したりした日から2か月以内にハローワークに申請しなければならないことを認識したい。

 失業保険が受け取れないことが不安で事業を始められない人は、この特例制度を活用してみるのも手段の一つだ。

確定申告の手間は増える

 開業届を提出した人は、確定申告での必要書類が増えることにより、申告の負担が大きくなる。青色申告では決算書や貸借対照表、白色申告は収支内訳書の作成が求められ、簿記の知識も必要になる。

 ただ、青色申告をすれば最大65万円の控除が受けられるため、節税効果を少しでも高めたいのであれば活用したい。確定申告の負担を少しでも減らしたいのであれば、会計ソフトを導入したり、税理士に依頼したりすることを検討しておくとよいだろう。これらの費用が売上以上にかかってしまうのであれば、開業届の提出を見送ったうえで雑所得として申告するのも手段の一つだ。

 なお、開業届を提出していない場合でも、20万円を超える所得があれば確定申告が必要だ。20万円以下の所得であっても住民税は申告義務があるので、所得があった翌年の3月15日までに各自治体に申告することを忘れてはならない。(了)

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