メリットの1つ目は、冷静になれる点です。資金を安全な資産にシフト(今回の場合には現金)するだけでマーケットに対する不安心理が和らぎ、俯瞰して分析することが可能になります。
また2つ目のメリットは、買い余力が増え、今後のチャンスに備えることができる点です。もし暴落に巻き込まれてしまうと、売ることも買うこともできず、身動きが取れなくなります。いったんリスクを減らせば、買い余力が増えることで、下落時の買いを実行することが可能になります。
【ステップ2】テールリスクを計算する
今回のシリコンバレー銀行の件が、金融システム不安まで発展しリーマンショックのような暴落が起こるかは現時点ではわかりませんが、その可能性は平時よりも高まっているといえるでしょう。
そこで、万が一に備えて「テールリスク(最悪のリスク)」を計算しておくことが鍵になります。計算の一例としては、過去の大きな暴落局面における下落率と下落期間です。ここでリーマンショックとITバブル崩壊時のS&P500を例にテールリスクを考えてみます。
・リーマンショック
…高値(2007年10月)から安値(2009年3月)まで1年5か月で▲57.69%
・ITバブル崩壊
…高値(2000年3月)から安値(2002年10月)まで2年7か月で▲50.5%
この2つの事例は、米国の株式市場の長い歴史の中でも、特に下落率の大きかった例であり、テールリスクの参考になると思います。もしも、今回の問題が他の金融機関に波及して金融システム不安につながるならば、「高値から50%以上下落する可能性もゼロではない」という、テールリスクも頭に置いておきましょう。
【ステップ3】“大底の型”が出るまでじっくり待つ
今後、もし大きな急落がきたら安値で買うチャンスになるものの、どこで買えば良いのでしょうか。
大底を完全に予測することは不可能です。だからこそ、チャートで“大底の型”の出現を待ちます。ここでいう大底の型というのは、テクニカル分析におけるダブルボトムやトリプルボトム、また逆三尊のチャートパターンなどです。そのほかにも大底の型はいくつかあるので、今のうちに大底の型についていくつか引き出しを持っておくことが大切です。大底となるべく近い位置で買うことができれば、「損小利大」が実行できる、合理的な投資機会となります。
ただし、焦りは禁物です。「頭と尻尾はくれてやれ」という相場格言があるように、大底と天井を正確に当てて、利益を全て享受することは困難を極めます。大底を待ってからでも遅くはありませんので、じっくりと待ってから買うようにしたいところです。