持続可能な開発を目指す17の国際目標「SDGs」への取り組みが積極的に進められるなか、関心が高まっているのが生ゴミから堆肥をつくる「コンポスト」だ。
「コンポスト」とは、生ゴミや落ち葉などを土に埋めて、微生物の働きを利用して分解し、堆肥化させること。農家では古くから行われていたことだが、最近では集合住宅のベランダなどでも実践できる、小規模のコンポストがある。フランスでは2024年から生ゴミの堆肥化が法律で義務付けられ、自宅でコンポストを実践するか、自治体が設置したコンポスト用に回収容器に生ゴミを持ち込まなければならなくなるという。
生ゴミを処理するとともに、出来た堆肥を家庭菜園にも活用できるということで、循環型社会への取り組みになるコンポストだが、“節約”の一環として実践するケースもあるようだ。
都内のマンションに住む会社員・Aさん(40代女性)は、個人事業主の夫と2人暮らし。夫の仕事の時間が不規則であるがゆえに、外食やデリバリーを頼むことが多かったという。しかし、ここ数年で生活が変化した。
「コロナ禍で夫の仕事が激減。収入は減りましたが、時間ができたので、節約にもなると思って自炊を増やしました」(Aさん・以下同)
同時に生ゴミの処理問題が浮上する。Aさん夫婦が住むマンションにはゴミ置き場がなく、週2回のゴミ収集日まで、室内に生ゴミを置いておかなくてはならないのだ。
「冬場はいいんですが、暖かくなってくると室内の生ゴミが臭ってくるんです。実はコロナ前に外食が多かったのも、夏場の生ゴミ問題があったためです。自炊をするなら、この生ゴミ問題を解決しなくてはなりませんでした」