200万円の死亡保障に207万円の保険料?
高齢化が進み、「85才以上でも入れる」「持病があっても入れる」などとうたうシニア向けの保険も増えているが、これこそ保険会社の“状況設定”の思うつぼだ。まず、そうしたシニア向け保険は保険料が高い。辛口保険評論家でファイナンシャルプランナーの長尾義弘さんは言う。
「とある大手保険会社の引受基準緩和型の終身保険に、60才の女性が保険金200万円で加入したとします。ひと月7500円の保険料を支払い、83才まで加入していると保険料の総額は約207万円。200万円の死亡保障なのに約207万円の保険料を払うことになるのです。女性の平均寿命は87才なので、保険料はもっと高くなる可能性があります」(長尾さん)
一方、同じ保険会社の通常の終身保険では、同様に60才から83才までの保険料の総額は149万1504円だ。だが、この場合でも、91才まで生きたとすると、保険料の払込総額は200万円を超える。つまり、保険に入っていると、長生きすればするだけ損になるのだ。
年を取ってからの加入は、月々の保険料が高い。かといって、若いうちに加入すると、月々の保険料は安いが、払い込み期間が長くなるため、保険料の総額が膨らむ。いずれにしろ、保険会社が損をしないしくみになっているのだ。自分に必要のない保険にまで加入していないか、くれぐれもご注意を。
※女性セブン2023年3月30日・4月6日号