投資信託の一種である「ETF(上場投資信託)」に近年、注目度が高まっている。2011年に約2.7兆円だった国内のETFの純資産残高は2023年2月末で約62兆円と約23倍まで膨らんだ。ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏が解説する。
「4桁の証券コードが付与され、株と同じように取引所で売買できる投資信託がETFです。インデックス型投資信託と同様に、日経平均株価やTOPIX、米国S&P500といった特定の指標に連動する商品が多いのも特徴で、原則年1回、商品によっては年複数回の分配金を受け取れます」
最大のメリットは「売買が簡単」という点だ。
「投資信託と異なり、ETFは株と同様に取引時間中はリアルタイムで価格が変動し、自分が好きなタイミングで売買できます。また、自分が指定した値段での指値注文も可能です」(深野氏)
ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢氏は、ETFの特長を「株と投資信託の利便性を兼ね備えているところ」だと指摘する。
「株のように即座に売買できるのでキャピタルゲイン(売却益)も狙えます。また、様々な銘柄を組み合わせることであらかじめリスクが分散されているため、投資信託の特徴も備えているのです。投資の初心者でも手を出しやすいといえます」
深野氏も初心者にはETFを勧めるという。
「売買のタイミングを把握しやすい。たとえば、日経平均株価に連動する銘柄なら日経平均の動きをニュースでチェックするだけで大体の状況を把握できます。また、東京証券取引所に上場しているETFは282銘柄(2023年3月現在)に限られるため選択肢が少なく、初心者でも商品を選びやすい。そのうえ、一般投資信託と比べてETFのほうが平均的に運用管理費用(信託報酬)は低く設定されているため、中長期間ほったらかして運用益を得やすい」