出社とテレワークのハイブリットな働き方で、オフィスのあり方も変化している。固定席で仕事するのではなく、持ち運べるノートPCなどを活用して社内の好きな席で仕事をする「フリーアドレス化」もその一例。だが、固定席からフリーアドレス形式へと働く環境が変化した人たちからは、戸惑いの声も上がっているようだ。
フリーアドレス形式は、社内コミュニケーションの活性化、生産性の向上、オフィスの省スペース化を目的に、導入する企業が増えている。森ビルが今年1月に公表した「2022年 東京23区オフィスニーズに関する調査」によると、フリーアドレスをすでに導入している企業は、2019年には19%だったが2022年には40%と増加している。
気づいてみれば結局固定席化
メーカーに勤務する40代男性・Aさんは、当初説明されたフリーアドレスの導入理由である「コミュニケーションの活性化」は、得られていないと感じている。
「コミュニケーションという点では、特に固定席時代と変わっていないように思います。毎日席替え状態で、普段話したことがない人とも話せるみたいなメリットを強調されましたが、案外みんな自分のお気に入りの席に座るので、結局固定席化していますし、話したことがない人は、仕事上もこれまで接点がないということなので、話すこともありません。
チームで集まりやすいという話もありましたが、普通に共有スペースに集合しているだけですし……」(Aさん)