本格的に就職活動をしているアサコさんは、雇用形態を問わず、以前勤めていた職場で身につけた事務職の経験を活かせる職場を探していた。しかし条件に見合う求人はなかなか見つからず、最近では自宅から1時間以上かかる職場もチェックしているそうだ。
「せっかく働くならしっかり稼ぎたいのですが、最低賃金の求人ばかりしか見つけられなくて……。近所にあるデイサービス施設で介護のお仕事に採用が決まったことはありましたが、冷静に考えて未経験の私には難しいと思い、辞退しました。家族に報告すると、上の子から『お母さんがわがまますぎる』と言われたんです。あの時はムッとしましたよ」(同前)
仕事探しを攻略するために夫や子供から助言されたのは、「ネガティブな質問に対してポジティブに回答すること」「約10年のブランクがあるのだから給料よりも環境を重視すべき」の2つだという。家族が言うことは頭では理解できるものの、アサコさんはどうしても素直に聞けないようだった。
「自分の気持ちに嘘をついて働いても長続きしない気がするんです。いやいや働くくらいなら、働かずに節約しながら生活するほうが性に合っている気がして。夫は早く働いてほしそうですが、引き続き良い求人に巡り合えるまで頑張りたいと思います」(同前)
家族間での意見のすれ違い、魅力的な求人に巡り合えないなどの理由から、働きたくても働けない専業主婦もいるようだ。世帯数で見れば今や少数派かもしれないが、専業主婦世帯にしかできないこともあるはず。現状をポジティブに捉え直すと、その後に新しい展開が待っているかもしれない。(了)