新型コロナウイルス感染防止のためのマスク着用は、3月13日から「個人の判断」に委ねられるようになったが、音楽ライブの現場では今なお「マスク着用」が原則となっているケースも多い。
音楽ライブなどを主催するプロモーターで構成される一般社団法人コンサートプロモーターズ協会(ACPC)は3月9日、「音楽コンサートにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」(第6回改定)を発表。そこでは、3月13日以降の音楽ライブにおけるマスク着用について、以下のように定めている。
〈お客さまのマスク着用については、お客さま個人の判断に委ねることを基本とします。ただし、公演主催者の判断によりお客さまにマスク着用を求める場合(歌唱・声援時のみマスク着用を求める場合等を含む)は、お客さまへその内容を事前(券売開始前。遅くとも開催前)に告知します。〉
音楽ライブでの観客のマスク着用は原則的に「個人の判断」ではあるが、主催者側から観客に対してマスク着用を求めることもある、という形だ。エンタメ事情に詳しいライターの大塚ナギサ氏はこう話す。
「小規模な会場でのライブでは、すでにマスク着用のルールがない場合もありますが、大規模なライブではマスク着用を義務付けているケースも多い印象です。また、今年に入ってから、公演中の観客による“声出し”を解禁する現場が増えていますが、その場合は“不織布マスクを着用した上で声出しOK”というケースが多いですね」
隣席の観客のせいで最悪な時間に
音楽ライブの現場でも、徐々にコロナ前の盛り上がりを取り戻そうとしているが、その一方で不安材料も少なくないという。
女性アイドルグループのコンサートに足繁く通っているという都内在住の会社員・Aさん(20代女性)は、「盛り上がりすぎるのがちょっと怖い」と話す。
「子供の頃からずっと女性アイドルが好きなんですが、コンサートでは男性ファンが大声を出して、激しく踊っているというイメージがあって、ちょっと怖くてなかなか行けなかったんです。でも、コロナ禍になって“声出し禁止・着席鑑賞”になったことで、落ち着いて楽しめるようになり、コンサートに行く回数が増えました。
今後、鑑賞ルールが緩和されたら、また激しいファンも増えるだろうし、自分の席の隣にそういう人がいたら、やっぱり少し気になってしまいます。そういう“座席ガチャ”が復活するのは、やや不安です」(Aさん)