私立女子の黒のランドセルがかっこよく見えた
子供のランドセル選びを通して、「自分も本当は違う色を選びたかった」と気づいた人もいる。IT企業で働く40代女性・Bさんは、自身の子供時代を振り返る。
「私立の小学校の女子が背負ってる黒のランドセルが、すごくかっこよく見えました。私は祖父母から赤いランドセルがプレゼントされましたが、当時はそれを嫌だとまでは思わず、そういうものなんだと思っていただけ。選べるなら黒がよかったのかもしれないな、と今になって思います」(Bさん)
Bさんの娘は人気アニメ「プリキュア」シリーズの大ファンで、イメージカラーが「紫」のプリキュア推し。ランドセルも「パープル」を選んだという。
「親としては淡い色は汚れやすいのかなという心配もありましたが、本人が今好きな色で、楽しく学校に通えることのほうが大事。そもそも子供に6年先のことを考えて選べというのも無理な話ですよね。どうしても汚れたり、使えないぐらいになってしまったら、また買い替えたらいいという考えです」(Bさん)
戦隊ヒーローのレッドに憧れていた
男の子といえば「黒」を連想しがちだが、「赤」に憧れた人もいる。金融機関に勤める30代男性・Cさんは、今春小学校に入学する息子が、かつての自分と同じ色に興味を持っていることに目を細める。
「息子は『赤』がいいと言ったんです。僕も子供の頃、戦隊モノでもアニメのキャラクターでも、強い感じがする『赤』がよかったんですが、男の子は『黒』一択みたいな時代。息子の言葉に、自分の昔を思い出しました。
今は本当にいろいろなランドセルがあって、僕のほうがテンションが上がるほど。あれこれ見て、最終的に息子が選んだのは、黒に赤いラインの入ったものです。自分で好きなものを選んでよいし、かつ他人が好きで選んでいるものを否定しないという教育につながればと思っています」(Cさん)
ランドセルが多様化していることに、親世代は時代の変遷とともに羨ましさも感じているようだ。(了)