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相続対策で節税したつもりが大損に!「おしどり贈与」「名義預金」の落とし穴

相続税対策が裏目に出るケースも

相続税対策が裏目に出るケースも

 相続税対策の“王道”とされる家族への贈与が、時として失敗に終わることがある。相続に詳しい税理士の山本宏氏が言う。

「年間110万円の非課税枠を利用した暦年贈与は相続財産圧縮で大きな効果があります。しかし、これをやり過ぎることで老後の生活費が捻出できなくなるケースが実際にあります」

 山本氏が紹介するのは、子供3人に対して毎年110万円の贈与を5年間続けた男性のケース。

「贈与により資産を計1650万円近く減らすことができ、子供たちに相続税がかかる心配はなくなりました。ところがその後、高齢者施設に夫婦で入居しようとした際、現金が準備できずに諦める羽目になった。『子供への贈与をし過ぎた』と悔やんでいました。相続税対策ばかりにとらわれて老後の自分の生活費を考慮せずに贈与してしまうと、失敗することになります」(山本氏)

 婚姻期間が20年以上の夫婦で、住宅やその購入費用の贈与が2000万円まで控除される「贈与税の配偶者控除の特例(おしどり贈与)」にも、こんな落とし穴がある。

 おしどり贈与を利用して妻に2000万円の自宅を贈与した60代男性のケース。その登記の際、登録免許税2%と不動産取得税3%がかかり、約100万円を納税したという。しかし、これは失敗だった。

「このケースでは、相続まで待てばいずれの税金も非課税で済みました。そもそも配偶者は1億6000万円までの資産は無税で相続でき、さらに居住用不動産の相続では80%の評価減となる小規模宅地等の特例が利用できます。相続対策としてのおしどり贈与は意味がないばかりか、かえって大きな損をする結果となりました」(山本氏)

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