米・中堅銀行のシリコンバレー銀行の経営破綻に端を発して、株式市場ではリスク回避の姿勢が高まった。そうしたなかで、FRB(連邦準備制度理事会)の金融政策への注目度がますます高まっている。市場はFRBの金融政策をどう評価しているのか。また、こうした相場が不安定になっている局面で、個人投資家はどのように投資に向き合っていけばよいか。個人投資家・投資系YouTuberの森口亮さんが解説する。
* * *
シリコンバレー銀行の経営破綻を皮切りにマーケットが大きく揺れています。そうした中で、3月22日のFOMCでは0.25%の利上げが決定されましたが、まだ混乱がおさまっているとはいえそうにありません。今後もFRBは難しい判断を迫られ、その判断次第ではマーケットが再び大荒れとなる可能性もあります。今回は、いまFRBが抱える2つの懸念点について確認していきたいと思います。
金融引き締めと逆行する緩和的な処置
FRBの懸念点は、「インフレ」と「金融不安」です。
2022年は「インフレの抑制」が最優先課題でしたので、急速な利上げを進め、1年間で4.25%幅の利上げと、歴史的な速度と水準での金融引き締めを進めてきました。2022年後半にはようやく効果が見え始め、インフレのピークアウトの兆候が見えてきました。しかし、いまだインフレ目標である2%には遠く、インフレ率は高止まり状態に。そのため、利上げを継続せざるを得ない状況が続いています。
その中で発生したのが、シリコンバレー銀行の経営破綻、そして連鎖的に発生した金融機関の経営破綻です。この時からマーケットではリーマンショックと重ね合わせた「金融システム不安」を意識する声が高まりました。金融システム不安から金融危機となってしまうと、株式市場の暴落が避けられません。すぐに当局が救済処置に動き、預金保護や金融機関への資金供給を決めました。この緊急的な対応によって過度な不安が和らぎ、現時点では大きな暴落とはなっていません。